新型コロナウイルスに関する基礎知識

最近になって、感染性の高い変異した新型コロナウイルスが日本でも報告されたり、まだまだ新型コロナウイルスの脅威は収まりそうにありません。感染病理学の専門ではありませんが、DNAやRANを扱う細胞生理学を研究する父に新型コロナウイルスやワクチンについて「やさしく」説明してもらいました。

新型コロナウイルスに関する基礎知識

○私たちの体の働き

私たちの体はたくさんの(30兆個以上の)細胞から成り立っており、それぞれが体の中で必要なタンパク質を作り出して、ヒトの体の機能と調和が保たれています。一つ一つの細胞は核と細胞質からできており、核の中には私たちの体を作るのに必要なタンパク質を作り出すための設計図であるDNAが納められています。この設計図を元にして、細胞質中で必要なタンパク質が作られます。一つ一つの細胞に納められているDNAにはヒトに必要な全てのタンパク質を作りだすための情報が書かれており、タンパク質を作る時にはまず必要な部分のコピーをとります。このコピーが細胞質に送られて必要なタンパク質が作られます。DNAから作られるこの時のコピーがRNAで、タンパク質はこのRNAの情報を用いて細胞質中で作られます。

○新型コロナウイルス

現在私たちを苦しめる新型コロナウイルスはRNAウイルスで、RNAとタンパク質からできています。ウイルスは自分に必要なタンパク質を自身で作ることはできず、(ヒトなど)他の生物の細胞を利用します。そこで、ヒトの細胞に侵入して自分のRNAから自分が必要な、しかしヒトには不要なタンパク質を作って増え、更に周囲の細胞に感染して増え続けています。

○免疫

私たちの体には侵入した異物(主に体には不要有害なタンパク質、新型コロナウイルスもこれに該当する)が入ると特定のタンパク質(抗体)が作られて、侵入した異物に結合して駆除する仕組みがあります。体の中で直ちに抗体が作られれば良いのですが、抗体の作られにくい物質、あるいは体質や体調により抗体が作られにくい場合には異物は残り、増殖してしまいます。

○ワクチン

ワクチンはこの抗体を体の中で作り出すことを助けます。今回普及が急がれているRNAワクチンは、この抗体タンパクの設計図のコピーを体(細胞)に入れることによりコロナウイルス駆除に有効な抗体タンパク質を作り出すことが期待できます。しかし、実際にどの位の量の抗体タンパク質が作られるのか、どの位の期間その機能が維持されるのかなど、まだ明確でないこともあります。

○今後の対応について

現在の新型コロナウイルスの市中での保菌率(地域の人の中でどのくらいの人たちがウイルスに感染しているか)は不明です。以前病院(慶応大病院、東京・新宿)で新型コロナウイルス感染とは関係なく入院患者さんを検査したところ、感染率は6パーセントでした。病院は基礎疾患のある方もいるので単純に市中には適応できませんが、最近は東京都では毎日1000人前後の感染者が報告されています。無症状の人もいるので、保健所で把握している人数は一部であると考えられ、平均すると朝夕の電車や大きなスーパーマーケットでも一人二人は保菌者がおられ、感染のリスクがあるかもしれません。まだまだ感染リスクを伴う接触は避けるべきでしょう。

PCR検査等の拡充による各地域の正確な感染率の把握(広島市などでその動きはあります)やワクチンの普及などに対する行政の手腕が問われています。今回の教訓から、私たちも危機管理に強い行政を作ること、行政に対する要望を積極的に意思表示していくことも必要であると考えます。

コメントは受け付けていません。